EPAの効果はどこまで信頼できる?調査結果まとめ

サバ

「近頃、会社の健康診断で引っかかってさぁ」
「食生活乱れてるから、血液がドロドロな気がする」
「このままだと脳卒中とか、心筋梗塞になるかも・・・」

EPA(エイコサペンタエン酸、イコサペント酸)はそんな健康が気になる中高年の間で人気の成分ですよね。

 

EPAには他にも体に良い効果が色々と報告されていますが、それらはどこまで信頼できるのでしょうか?

科学的な検証がどれだけ行われているか?の観点から、EPAの効果の信頼度を調査しました。

 

EPA単独での質の高い検証は少なく、DHAと一緒、もしくはオメガ3脂肪酸、魚油としての検証の方が多いため、オメガ3脂肪酸と魚油についても調査対象としています。

必須脂肪酸の関係図

信頼度:高

中性脂肪

信頼度:高

EPAが中性脂肪を下げるのに役立つことは、一般的な事実として知られています。
 
EPAを用いた医薬品も存在し、サプリメントでも「血中中性脂肪を減らす機能がある」機能性食品が販売されているため、中性脂肪が気になる人にとって利用しやすい成分の1つとなっています。

信頼度:中

うつ

信頼度:中

魚油やオメガ3脂肪酸の摂取において、EPAの割合が多い場合に、うつの改善が認められることが質の高い検証で示されています。
 
ただし、オメガ3脂肪酸については、複数の質の高い検証において、うつに対しては「効果あり」と「効果なし」が混在しており、また効果があっても僅かであるという検証結果もあることから、現時点ではうつの改善に役立つと結論づけられません。

信頼度:低

がん

信頼度:低

質の高い検証で、EPAは前立腺がんのリスクと関係がなかったと報告されています。
 
オメガ3脂肪酸においては、前立腺がんについて「関係なし」と「悪化リスク」の相反する検証結果が出ており、また全般的ながん発生率との関係がなかったとの検証結果もあるため、現時点ではがんに対する効果はほとんど見込めないと思われます。

胎児の発育

信頼度:低

妊娠中にEPAを摂っても、胎児の発育には影響しないとの報告がありますが、EPAに関しては質の高い検証が見つかりませんでした。
 
EPA自体は、妊娠中・授乳中のデータが不十分なため、基本的には摂取を避けることとされています

(これはEPAが妊娠、授乳中に有害であるというわけではなく、検証データが不十分なためです。また、オメガ3脂肪酸、DHAに関しては適量であれば問題ないとされています。)
 
オメガ3脂肪酸の方で、早産・低体重児の予防に役立つことが質の高い検証で示されているため、妊婦の方はEPAよりオメガ3脂肪酸に注目した方が良いかもしれません。

アレルギー

信頼度:低

アレルギーに関しては、質の高い検証ではありませんが、EPAに花粉症、気管支喘息に効果がない報告があります。
 
オメガ3脂肪酸の質の高い検証でも、アレルギーにほとんど影響を及ぼさないことが示されているため、アレルギーに対する効果はあまり望めないと思われます。

心臓、血管の病気

信頼度:低

EPAの豊富な食事で、冠動脈疾患による死亡リスクが低下する報告があります(質の高い検証はなし)。
 
ただしオメガ3脂肪酸においては、複数の質の高い検証で、心血管系の疾患に対してはあまり効果が望めないことが示されているため、心血管の病気に対しては現時点ではあまり効果を望めないと思われます。

血圧

信頼度:低

DHA+EPAの組み合わせで、血圧の改善に効果があることが質の高い検証で示されています。
 
しかし、EPA単独では血圧に関する質の高い検証がなく、現時点ではEPA単独での効果に関しては判断ができませんでした。

EPA単独での検証が不足

以下の項目については、EPA単独での質の高い情報が不足していたため、今回は判断できませんでした。

  • 認知能力
  • 糖尿病
  • アルツハイマー
  • ADHD
  • アトピー
  • コレステロール
  • 肥満

これらに関しては、オメガ3脂肪酸もしくはDHAの方が参考になる情報が多いため、そちらの記事を参考にしてください。

オメガ3脂肪酸のサプリメントオメガ3脂肪酸の効果はどこまで信頼できる?調査結果まとめDHADHAの効果はどこまで信頼できる?調査結果まとめ

EPAの摂取量の目安は?

EPA単独での摂取量の目安は特にありませんが、オメガ3脂肪酸については、アメリカの厚生労働省に当たるFDAでは、サプリメントとしては1日2gを超えて摂取しないこととされています。

1日3gを超えると、出血傾向が強く出る恐れがあるので、サプリメントでは高用量はオススメしません。

また、日本における摂取基準でも、オメガ3脂肪酸の上限は2gとなっていることから、DHA等の他のオメガ3脂肪酸も含めて1日2gを超えないようにした方が良いでしょう。

参考 食品表示ガイド米国FDA

薬剤師からのアドバイス

  • 中性脂肪への作用だけは、既に医薬品、機能性食品への応用があるため信頼度が高い
  • うつに関しては、DHA、オメガ3脂肪酸より期待できるが、情報がまだ不十分
  • それ以外の効果に関しては、情報が非常に不足
  • EPAは妊婦、授乳婦の方は基本的に避けること(データが不十分なため。オメガ3脂肪酸、DHAは適量であれば問題ない)

EPAに関しては、単独での検証が少なく、多くの効果が判断できませんでした。

中性脂肪に対する作用は信頼度が高く、それ以外に可能性があるものとしては、うつに対する作用ぐらいでした。

EPA単独に注目して摂取するよりは、情報量の多いオメガ3脂肪酸の方にを意識するのが良いかもしれません。

参考情報

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Omega-3 Supplements: In Depth(NCCIH:国立補完統合衛生センター)

「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)

健康食品・サプリ「成分」のすべて ナチュラルメディシンデータベース第六版