少し前に、日本でも胃薬のラニチジン製剤で発がん性物質のNDMAが検出されて自主回収になり話題になったのは記憶に新しいところですが、今度は糖尿病治療薬のメトホルミン製剤でのNDMA検出のニュースが出ていますね。
該当する薬を飲んでいる人は気が気ではないと思いますので、現時点までの情報をまとめてみました。
今後の報道に合わせて、記事の内容は順次アップデートしていく予定です。
目次
各国が発表している情報
今回のメトホルミン製剤でのNDMA検出について、各国が出している主な発表を掲載しておきます。
↓日本の発表
参考
メトホルミン塩酸塩における発がん物質の検出に対する対応について(2019/12/9)厚生労働省
↓最初に発表したシンガポール
参考
HSA Recalls Three out of 46 Metformin Medicines(2019/12/4)シンガポール保健科学庁(HSA)
参考
Statement from Janet Woodcock, M.D., director of FDA’s Center for Drug Evaluation and Research, on impurities found in diabetes drugs outside the U.S.(2019/12/5)アメリカ食品医薬品局(FDA)
参考
EMA update on metformin diabetes medicines(2019/12/6)欧州医薬品庁(EMA)、
メトホルミン製剤で基準値超えのNDMAが検出された国
この記事を執筆している時点(2019/12/13)では、メトホルミン製剤で基準値以上のNDMAが検出されているのはシンガポールのみになります。
12/4のシンガポール保健科学庁の発表を受け、日本を含め、アメリカ、EU等でも、各国でメトホルミン製剤を販売している製薬会社に調査を依頼し、その結果を待っているところです。
シンガポール保健科学庁の発表まとめ
46製品中3製品でNDMA検出
シンガポール保健科学庁の発表によれば、同国で販売されているメトホルミン製剤46製品に関しては既に確認が完了しているとのこと。
そのうち3製品から基準値超えのNDMAが検出されており、残りの43製品については問題がなかったことが確認されています。
少し前にあったラニチジン製剤の例では、NDMAが検出された製品の方が多かったので、今回はそこまでの規模ではないのかもしれません。
NDMAが検出された製剤のリスクは低い
NDMAは発がん性物質ですが、以前あったラニチジン製剤の時と同様、今回のNDMA検出による健康リスクはかなり低いと説明されています。
理由としては、NDMAは長期間にわたり摂取を続けた場合にリスクの可能性が高まるものであり、回収対象となった3薬剤は昨年以降の短期間の間に流通しているものであるためとの説明です。
(※NDMAは発がん性物質ですが、私たちの身近な飲食物にもわずかに含まれていて、誰でも日常的に微量は摂取しています。)
対象薬剤でも自己判断による中止はしないこと
今回の問題では、混入したNDMAによるリスクより、糖尿病治療薬をいきなり止めることで、血糖値の悪化、それによる合併症リスクが増加する方が、はるかにリスクが高いとされています。
そのため該当するメトホルミン製剤を飲んでいる人であっても、すぐに止めるのではなく、まずは医師や薬剤師に相談することを推奨しています。この点もラニチジン製剤の時と同じです。
日本のメトホルミン製剤を飲んでいる人はどうすれば良い?
まだ記事執筆時点(2019/12/13)では、日本国内で流通しているメトホルミン製剤に関しては調査中であり、結果待ちの状態です。
現時点での対応としては、各製薬メーカーや厚生労働省から新たな情報が出るのを待ち、それまでは今飲んでいる薬を勝手に止めずに継続することが推奨されています。
いつ結果が分かる?
厚生労働省の通達では、2019/12/27までには分析を済ませて報告するよう各製薬メーカーに通達していますので、それまでには何らかの結果が得られるのではないかと思います。
どこで情報を確認すれば良い?
今回の厚生労働省からの通達は、こちらの医薬品医療機器総合機構のホームページで出されました。
参考 安全対策に関する通知等(医薬品)医薬品医療機器総合機構もし今後、日本のメトホルミン製剤でも基準値超えのNDMA製剤が検出された場合は、以下の医薬品医療機器総合機構、厚生労働省のページで発表されると思われます。
参考 回収情報(医薬品)医薬品医療機器総合機構 参考 報道発表資料厚生労働省
また、以下がメトホルミン製剤を製造もしくは販売している製薬メーカーのリストになります。今後、検査の結果が出れば、各製薬メーカーのホームページ上でも発表されると思われます。
- 大日本住友製薬株式会社
- 第一三共エスファ株式会社
- トーアエイヨー株式会社
- 東和薬品株式会社
- ニプロ株式会社
- 日本ジェネリック株式会社
- 日医工株式会社
- 辰巳化学株式会社
- 株式会社三和化学研究所
- ファイザー株式会社
- 日本新薬株式会社
- シオノケミカル株式会社
- ノバルティスファーマ株式会社
- 武田薬品工業株式会社
- 武田テバ薬品株式会社
自分が飲んでいる薬剤に関する問題だと心配になるかもしれませんが、新たな情報が出るまでは冷静に対処していきましょう。